トップ
›
日記/一般
|
浜松市
|
新規登録
|
ログイン
はまぞう検索⇒
ふらんけんの日記
市内在住ふらんけんの趣味系ブログ
BOSEのラジカセ
2014/04/03
その他 音楽
読者さま閲覧ベスト10
いまを遡ること20余年。以前勤めていた
販売の職場での出来事です。
ある平日の昼休み、予定のホワイト
ボードに「ボーズ試聴会12:30〜」と
書いてありました。
当時からBOSEといえば、アメリカの
新興オーディオメーカーで独自の
理論に基づいたスピーカーを発表
しており、当時の日本ではライブの
PA音響用のスピーカーなどで馴染みが
深いメーカーだった様に記憶しています
そんなハイエンドスピーカーの会社の
試聴会とはなんぞやと当日昼休み、
ご飯を食べた職場のほぼ全員が
会議室に集まりました。
机の上にはなにやら奇妙な形をした
機械が1台。全体がスリットで中央に
銅のような帯が巻かれてアクセントに
なっています。大きさはビールケースを
縦に半分に割ったくらいのかなり大きい
ものです。
机の上には様々なジャンルのCD(確か)
が並んでいました。背広のおじさんが2人
まずは挨拶があってBOSEが新たに
開発した音響システムのお披露目を
させていただくことになったと説明あり
もう一人のおじさんがパンフレットを
配りました。どうも何か売りにきた様です
その妙ちくりんな形をした機械にの横に
CDプレヤーが接続してありそのスリットの
機械から音が鳴る仕掛けのようです。
なんでも従来のオーディオの概念を覆す
設計で作り上げたオーディオシステムで
他ではなし得ないサウンドが再生される
とのこと。
まずはクラシックのCDを流しました。
よく判らないが臨場感があります。
そして低音がすごく出ています。
楽器の中で一番音の幅が広いのは
なんですか?などと試聴に来た社員に
次々と手を挙げさせたり質問したり
和やかに試聴会は進行していきます。
かなりの大音量でいろんなジャンルの
音楽や鳥の鳴き声や川のせせらぎなど
自然の録音を聞かせられました。
目の前をSLが通り過ぎたり小鳥が
さえずっているかのようです。
そしてかなり音量をあげても歪むことは
ありません。筐体が大きいこともあるの
でしょうが低音の再生力はスピーカーの
サイズと比較しても迫力があります。
説明では音道を迷路の様に設けて低音を
出しているとの事。後年ヒップホップの
流行の辺りからウーハーなどオーディオ
でも低音を強調させる流行がありますが
この頃はまだそれ以前の話。
正直にBOSEって凄いなと思いました。
この新開発の音響システムは
70万円
も
するとのこと。なるほどライブPA機材や
ハイエンドオーディオでも国産メーカーと
比較しても高額ですしおじさん達の説明に
試聴に参加した社員は羨望の眼差しで
この機材を眺めています。
次から次へと再生される音源の臨場感や
音の広がりに皆で酔いしれています。
そして合間合間の楽しい音楽の話を挟み
次第ににわか試聴会の場の空気も高揚して
きた頃、おじさんはここだけの話として
この機材に日本向けにカセットデッキと
ラジオチューナーを搭載して今日集まって
頂いた皆さんに特別に
27万円
にて
モニターテスト販売したいとのこと。
外部入力端子を繋げればCDも聴け
オーディオとしては高額だが70万円の
音響装置がこの値段で帰るのはテスト
モニターだからと説明がありました。
クレジット払いでも結構ですと説明があり
ここでかなりの人が食指を動かしました。
結局5人が契約用紙にサインし始めました
購入を決めた人達、盛り上がっています。
とても個人で手が出せなかったBOSE最新鋭
音響システムが目前に。更に次々この場で
契約がなされています。その風景に焦燥し
自分もこのモニター価格なら貯金崩せば
なんとかなるかなと頭の中で計算が
始まっていました。
しかし、自分の中途半端な商品知識が
待ったを掛けました。27万円ならもう少し
足せば同じBOSEでその頃わりと一般的な
ペア売りの中型301が購入できる値段。
知名度的にもサイズ的にも
その方がいいなと思ったのです。
多くの人が契約用紙に記入する中ボーズの
担当の人が「あなたもいかがですか?」と
訪ねてきた際その件について率直に聞いて
みたところ「そうですね為替による上下が
ありますのでその価格について一概には
申せませんね」とにこやかに答えました。
(!?) それ、ヘンじゃね??
オーディオ店のカタログやFMレコパル
(雑誌)には希望小売価格が明記されている
にも関らずボーズのおじさんは自社製品の
価格は円ドル次第で変動するというのです
まさかと思いますが商品知識がないのを
誤魔化しているような素振り。101.801
など代表的スピーカーの名前を出しても
話に乗ってくるどころか歯切れのわるい
返事ばかり。
ひょっとして、これ怪しくないか?
周囲をよそに徐々に購買熱が醒めました。
確かにアメリカのBOSE社製でありますし
そのサウンドは大変に素晴しいのですが
今回試聴会で販売する音響システムとは
冷静に考えれば要するに…
27万円のラジカセ
という訳でありまして、性能で較ぶべくも
ありませんが同じラジカセという事ならば
無敵マエダ
に行けば
8千円から
手に入る。
帰宅後所持していたオーディオカタログを
見れば社名は「BOSEコーポレーション」
なのに、くだんの音響システムは
「BOSE感性工学リサーチ」という会社名。
友人にそのいきさつ一切を打ち明けると
「ウチにもそいつ来たぞ!」
との話が続出。一気に何人も購入したのは
自分の会社くらいでした。営業マンは
営業されるのに弱かったというわけです
なんとも引っ掛からなくてよかったなと
安堵したものです。そして商品は高品質
ながら
催眠商法の実体験
として貴重な
経験を得ることになりました。
あの試聴会の時、なんの疑いもなく
気分が高揚して「ほしい!」と感じた
自分ほか大勢の空気を感じたのです。
当時はバブル経済の真っ只中でもあり
良いモノ(と思われた物)への投資は
比較的鈍感だったようにも思います
免許を取れば新車でマークⅡや
プレリュードを買っていた世代です
そういう時期の世相や消費動向は
勘案するべきでしょうね。
この機種はBOSE AW-1といいます。
同名でネット検索すると様々なサイトが
出てきますし、オークションでは未だ
1万円前後で取引がされている様です。
いろいろ調べるとボーズ感性工学の
おじさん達、全国津々浦々の事業所を
廻ってはこのラジカセを試聴会と称して
訪問販売していたようです。
※但しWikipediaでは一切AW-1に
関する記事を見つける事ができない。
またBOSEコーポレーションとBOSE
感性工学リサーチとの業務関係は
把握することができませんでした。
折角の高品質な性能も無謀とも思われる
価格設定や、その怪しげな販売方法が
四方山話の核となっており、当時のあの
価格に手が出なかったがあのサウンドの
感動が忘れられなかった方々が、現在の
熱いファン層となっておられるようです。
昨晩ネットで偶然そんな事情を知り
当時を思い起こし記事にしてみました。
同じカテゴリー(
その他 音楽
)の記事
ネオパーサ
(2025-03-01 12:46)
送 料
(2025-01-17 04:20)
め組のひと
(2024-07-17 23:36)
爆音リハビリ
(2024-05-18 15:20)
坂本龍一さん
(2023-04-03 06:00)
修理完了!
(2023-03-23 17:45)
Posted by ふらん 鍵
名前:
メール:
URL:
情報を記憶:
コメント:
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
確認せずに書込
前の記事
次の記事
写真一覧をみる
BOSEのラジカセ
コメント(
0
)