地味に昭和の風景を訪ねて5(森町 城下延城橋)

今日のお題も中遠、周智郡森町から。
要はこの近辺に多いってことですね。
カテゴリータイトルも刷新するかな。


このシリーズでは1〜3まで生活木橋、
そして4ではモルタルながら沈下橋と
それぞれ地域を担いかつ情緒を育んだ
地味な橋を紹介してまいりました。

今回の物件は木製沈下橋に加え"流れ橋"
という新機軸をひっさげて登場なのだが
過去紹介した橋と比較すると規模的には
ナニコレ感漂う徒歩専用"城下延城橋"の
ご紹介です。




昨年ひょんなことからチビスクーターを
譲り受けました。二輪に乗るのはとまれ
数十年振り。近郊をスイスイ走り回ると
鳥のように自分の裁量でカーブを傾ける
忘れていた自由な感覚に覚醒。楽しい!

わがC-HRと同じHンダ製ながらクルマと
違いマークが羽根(ウイング)なんですね。
草葉の陰のオヤジさんの心意気と勝手に
解釈しながら西へ東へ三密怨嗟よろしく
走り回っております。


とまあ、そんな中で見つけた今回の橋。
名前は城下延城橋"しろしたえんじょう
ばし"といいます。

場所は森町の中心から太田川沿いに遡り
アクティ森へ向かうT字交差点から少し
川沿いに下流に戻った辺り。で、実物は
こんな感じ。



…よく見えないか。近づいてポン!





……確かに情緒はそこそこあるけれど
これ、単なる足場ではないのかね⁈

メジャーで測ってみた。桁幅約50cm、
川底から桁踏面まで大体1m、10径間。
橋梁長は目測で約40m。橋脚スパンが
結構まちまちで3〜4mの木造橋(沈下橋)



堤を上がった所バス停に並んでこの橋の
詳しい案内板があります。それによると
掛川藩祈祷所、大尾山の参道起点として
賑わったこと。戦前まで操業した製材所
への通勤経路だったこと。戦後耕作地の
便のため自治会で橋を管理、TVドラマの
舞台になったことなど、この見た目から
想像できない由緒のある歴史のシンボル
として説明されていました。


※対岸側より

う〜ん、さすが森町

案内板なくしてこのレベルだったら
たぶんシリーズ俎上は却下されてた
だろうなあ。やっぱ足場だもん。

戦前、製材所のあった対岸側にはなにか
立派な物流センターが建ち、この情景に
関係なく盛業中です。そしてその奥側は
天方城の山容が迫ります。手前側は古い
秋葉街道、城下地区の街並み。

川幅いっぱい水を讃え、麓を潤しますが
通常の水位は足首くらい。ここは三倉川
吉川の合流点で、このあたりから俗称の
太田川となる様です。アクティ森側本流
吉川上流には規模の大きい太田川ダムも
あり、よく治水されてる印象を受けます。



橋の構造はいたって簡便で、川の流れる
方向に電柱杭を2本並べ打ち、挟み込む
様に2×4材にて留めてこれを橋脚として
適当な間隔に設置します。そして並列に
踏み板を2枚渡し横に繋げて橋桁の完成。



で、新基軸"流れ橋"たる構造の由縁。

桁は橋脚に乗っかっているだけで大雨等
水没時には浮上分離し水圧をかわします。
但し片端はワイヤーで杭に結わえられて
流出防止が図られています。洪水時には
ある程度自壊して致命的な損傷をふせぐ
わけ。欄干が省略されてるのも同義です。

"足場、足場"と揶揄してしまいましたが
ここは流れ橋としてのセオリーを堅守し
架橋されているのが特徴です。ちなみに
案内板には別称「潜り橋」と命名があり
増水が見込まれる際、事前に桁を外せる
構造と記載がありました。



まあ実物は手作り感いっぱいで、渡って
みると"ワナワナ"してとても楽しいです。
特に流速の早い箇所は径間が長く橋桁が
余計にしなるのでちょっとビビる。まあ
普段の水位なら仮に落っこちたとしても
靴が濡れるだけで済みますけどネ。



昨年秋、台風が2度襲来しましたが
その後訪問するとこのような惨状に。



あー、やっぱりといった感じでした。

桁は外されて両岸にまとめられています。
洗窟されたか杭も一本やられて痛々しい
ですが、流れ橋系沈下橋での想定内事案。

年が明けて5月に再訪するとちんまりと
修理され橋は見事に復活していました。
流出した杭も新たに打ち直されそれこそ
何事もなかったかの様な見事な佇いです。
ちょうどコロナ禍の流行であるBBQ組
子供達の遊び相手となっており、ほっと
すると同時に大変微笑ましく感じました。
この種のもので用途が希薄な物件などは
放置、荒廃してしまうものも多いのです。



いくら想定内な事案だったにせよ、地元の方
たちが愛情を持ってこの橋をよく管理されて
いる事がなにより重要なんだと感じました。


それも今回ご紹介させて頂く
ことにした理由のひとつかな。









城下延城橋
周知郡森町城下280
(太田川堤防下)




クルマでのアクセス
森町中心街の森川橋を川沿いに北上。
県道58号線雨宮神社、春野方面へ。


そのまま数キロ道なりに進んで
城下北交差点をすぎたところ
元開橋を渡る直前を右折します。
アクティ森に曲がるT字交差点
の手前です。


さらに堤防沿いに左へ。川に沿って
右にカーブしながら少し森町方面に
戻ったところ。森町営バス「城下上」
バス停近く。すぐ横に数台分クルマを
停められるスペースはありますが、
見学は地元の方のご迷惑にならない様
ご留意ください。

森町観光協会の案内より
→ こちら

ウィキ「流れ橋」
→ こちら



※言うまでもありませんが、新型肺炎
ウイルス感染拡大防止に鑑み考えうる
対策を充分施した上楽しいお出かけを。
自治体を跨いだ移動は控えましょう







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